リアルテックグローバル2号ファンド、高効率なバナジウムレドックスフロー蓄電池を開発するVFlow Techに追加出資

UntroD Capital Asia Pte. Ltd.(所在地:シンガポール、Managing Director:丸幸弘、以下「当社」)が運営するリアルテックグローバルファンド2号は、高効率なバナジウムレドックスフロー蓄電池(VRFB)を開発・販売するシンガポール発スタートアップのVFlow Tech Pte. Ltd.(以下、「VFlow Tech社」)への追加出資を実施したことをお知らせいたします。
VFlow Tech社は、2022年12月に当社がリードするシリーズA1ラウンド※1を実施いたしました。本シリーズA2ラウンドは、東南アジアを代表するVCであるGraniteAsia社※2、シンガポール政府系ファンドであるEDBI社※3(経済開発庁傘下の投資会社)などの機関投資家、株式会社商船三井のコーポレートベンチャーキャピタルであるMOL PLUS社※4など戦略的なパートナーシップを見込むグローバルな事業会社などから総額約15Mn USDの調達となりました。
今回の追加出資を通して、当社は引き続き「誰もがクリーンエネルギーにアクセスできる世界を実現する」ことを目指すVFlow Tech社の事業開発・日本進出を支援してまいります。
脱炭素インフラを支える革新的蓄電池技術でエネルギー革命に挑む
パリ協定やCOPサミットの動向を背景に、再生可能エネルギー導入を初めとするカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速しています。しかし、太陽光や風力は天候や時間帯に左右され、発電量の間欠性が大きな課題となっています。そのため、再生可能エネルギーと蓄電池を接続し、余剰電力を蓄えて需要ピーク時に放電することの重要性が増しています。一方、従来の蓄電池は劣化が早く、経済性に課題がある上、ショートや過充電による熱暴走のリスクも懸念され、大規模インフラ用途には適していませんでした。
これに対しVRFBは、バナジウムを用いた液体電解質でエネルギーを蓄えるため、従来の蓄電池とは異なり、劣化や熱暴走のリスクがなく、液体電解質の調節により蓄電容量を柔軟に変更できるという特長を持っています。一方効率性や経済性、運転可能温度の制限などの課題により社会実装が進んでいませんでした。
VFlow Tech社が開発するVRFBの可能性
VFlow Tech社の蓄電システムは、南洋理工大学にて研究された独自の構造特許を活用し、他社ソリューションと比べてより高い安全性と蓄電性能、コスト効率を目指してきました。2019年に実施した実証実験以降、蓄電システムの改良を重ね、直近ではシンガポールの行政案件や大企業が保有する設備での導入実績を積み重ねてきました。既にMWh級の大規模蓄電システムを構築しており、大型電力発電のプロジェクトやマイクログリッド、オフグリッドソリューションを含む様々な用途に対応した設計を進めております。現在世界10か国以上で利活用されており、2024年には、株式会社商船三井の海外拠点であるMOL (Asia Oceania) Pte.Ltd.(以下、MOLAO)と覚書を締結※5し、アジア・太平洋地域における海運・物流業界へ進出しています。

MOL Plus・北國フィナンシャルホールディングス・当社でVFlowの事業を支援
VFlow Tech社は、2020年にシンガポールで開催された「TECH PLANTER in Singapore(株式会社リバネス主催)」に参加後、2022年12月に当社がリードするシリーズAラウンドを実施いたしました。出資当時は、販売台数も少なく、受注プロジェクトの規模も限られてましたが、当社の事業・ファイナンス等の支援を通じて、順調に事業を拡大してまいりました。また、2024年12月には、当社のパートナー企業である北國フィナンシャルホールディングスが東南アジアで実施するベンチャーデッドの第一号案件として採択※6され、中長期的な日本での事業展開も視野に入れております。今回の調達を通して、量産体制の確立や世界各国で受注しているプロジェクトの実装を進めてまいります。


※2:Granite Asia…シンガポールを拠点とする、運用総額約7,000億円を誇るアジア最大級のVC。2020年の設立以降培ってきたアジア市場に根差した独自の深い知見とネットワーク・金融手法を活用し、アーリーステージからレイタ―ステージまで、幅広い支援実績を持っています。
※3:EDBI…シンガポール経済開発庁(Economic Development Board)の戦略的投資部門として1991年設立。シンガポールの産業政策を踏まえた国内外スタートアップ企業の事業支援を通して、国内の雇用創出・持続的経済成長の実現を目指しています。
※4:MOL PLUS…日本初の海運CVCとして2021年に設立。「海運業に新しい価値をプラスする」ことを目標に、既存事業である海運物流領域のみならず、エネルギー・ブルーエコノミー・宇宙などといった幅広い領域に対してグローバルに投資活動を実施しています。
UntroD(アントロッド)について
地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテックスタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)を運用し、運用総額は400億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。
HP:https://untrod.inc
お問い合わせ
UntroD Capital Asia Pte Ltd
広報担当:成田
contact_global@untrod.inc