海外で研究者を志した私が日本のVCで働く理由 – メンバーインタビュー:櫻井はるか
2022年9月より、リアルテックホールディングス株式会社(以下、「リアルテック」)でインターンとして活躍する櫻井はるかさん。インターンシップをすることになったきっかけや今後の展望について話を伺いました。
<プロフィール> 櫻井はるか / Haruka Sakurai 東京生まれ、生後6ヶ月の時にシンガポールへ移住し小・中・高現地のインターナショナルスクール(UWCSEA)へ通う。大学はイギリスのImperial College Londonで有機・無機・物理化学を3年間学び、修士の研究はアメリカのMassachusetts Institute of Technologyで魚のワクチン摂取用のマイクロニードルについて行った。細胞農業に2018年から興味があり、リアルテック入社前はシンガポールのウナギを培養しているスタートアップ(Umami Meats)でインターンをしていた。趣味は声楽と登山。 |
---|
——これまでずっと海外で過ごされた櫻井さん。そもそもリアルテックを知ったきっかけは何だったのでしょうか。
私は細胞農業に凄く興味があり、ある日業界レポートを読んでいたら、シンガポールの細胞培養ベンチャーShiok Meatsに出資している投資家としてリアルテックファンドが載っていて知りました。
——本当に偶然だったのですね。そこからインターンシップをすることになった経緯についても教えてください。
日本にも細胞農業ベンチャーに投資をしているVCがあることに興味を持ち始め、リアルテックについて調べていると、村山さんのインタビュー記事が目につきました。村山さんは技術の力で世の中を良くしたいという想いで研究者としてキャリアをスタートさせ、戦略コンサルファームを経て、リアルテックに入社しています。私も研究者を目指して研究に励んでいたので村山さんに通ずるところがあり、考え方についても大変共感しました。早速LinkedInで連絡をしたところ、とんとん拍子で話が進みインターンシップをすることになりました。
——櫻井さんのように直接連絡をしてくれる人は意外と少ないので、本当にうれしい限りです。少し人生を遡って、研究者を目指すことになった理由について教えてください。
私は、ボランティア活動に凄く力を入れているシンガポールのインターナショナルスクールに中学・高校と通っていました。中学生が募金でカンボジアに家を建てたり、ラオスの学校で英語教育のボランティアをしているような学校でした。
ラオスの村で目の前を走り回っている子ども達を見て、ふと自分はただ人生のくじ引きで今の環境に生まれ、もしかしたら目の前の子どもになっていたかも知れないと思ったことを覚えています。決してラオスで生まれたことが運悪いというわけではないですが、ファクトとして自分の方が社会に貢献できる環境や機会に恵まれているので、社会への責任を果たしていきたいと思い始めました。
高校では特に環境問題に関心を持ち始めて、核融合という技術と出会ったのが転機でした。技術は政策や人々の行動変容のみでは補えない、実体的な解決策を提示できるものだという確信から化学を専攻し、科学者への道を歩み始めました。
——研究者への道を順調に歩んでいた櫻井さんが、なぜベンチャーキャピタルという業界に飛び込んだのでしょうか?
イギリスで化学学士を取得した後、1年間アメリカの大学院に留学をしていたのですが、その時に興味本位でアントレプレナーシップ講義を受講しました。そこで多くの研究開発型技術が市場ニーズに結び付けられないこと(魔の川)や資金や人材などが適切に調達や配分できないこと(死の谷)によって社会実装されていない現実に直面しました。
社会の課題解決をしたいというところからスタートしている私にとっては、どのような技術も人々に使われ、社会的インパクトを生み出して初めて意味を成します。
技術の力で世の中を良くしたいという想いで研究者としての道を歩みだしたものの、研究結果が世の中に出る可能性が非常に低いことに気づいて、果たしてこのまま研究者としての道を進むべきかモヤモヤしていました。
そんな時、村山さんの記事に出会いました。研究開発型技術を世に出すことをミッションとしているベンチャーキャピタルであれば、優秀な研究者や技術者の成果が世に出ないという問題の解決の一助になれるのではないかと妙に腑に落ち、飛び込んでみました。
——これまでとは全く違う業界に飛び込むのは、すごい勇気がいることだったのではないでしょうか?
はい、正直めちゃくちゃ勇気がいる決断でした。私にはビジネス経験がなく、ベンチャーキャピタルってものすごく大変な業界なので、行きたくてもいけないのではないかと当初は思っていました。ただ、村山さんのインタビュー記事の中にあった、「経験がないから入社できないのではないかと思っている人ほどリアルテックのビジョンに共感する部分があれば応募してほしい」というメッセージがまるで自分に語りかけているようで背中を押されました。不安やリスクがあるとしても自分の「しっくりくる」様な感覚に素直になりたいと思い、飛び込んでみました。
——日本で生まれたものの、生後すぐシンガポールに移住し、そこからイギリス・ドイツ・アメリカとずっと海外で生活してきた櫻井さんが、なぜ日本で働こうと思ったのでしょうか?
一つには、日本人でありながら日本に住んだことがないので、自分のルーツを発見するためにも、卒業するこのタイミングで日本に住んでみたいというのがあります。
もう一つは、ニュースを見ていても家族や友達と話していても、日本は沈みゆく国だという風潮が強いのが悲しく、それが本当なのか自分の目で確かめ、変えていきたいという想いがあるからです。日本人はすごく真面目で誠実で、大学でも素晴らしい研究がされており、技術も優れています。つまり、すごい優秀な技術者や技術はあるけどそれがきちんと社会に出ていない。これを変えられるのがリアルテックであり、その力を使って日本を活性化させたいなという想いで帰国しました。
ただ、いずれはリアルテックの拡大と共に海外で働きたいなとは思います。
——リアルテックで取り組みたいテーマはございますか?
先ほど申し上げたように、環境問題にすごく関心があるので、それに寄与するようなテーマは扱いたいです。特に技術に強く惹かれるきっかけをくれた核融合や、環境負荷が高く変革が求められているフードシステムの中でも細胞農業は注目しております。人の生活基盤づくりにかかわれるような仕事ができたら嬉しいです。
もう一つはフェムテックにおける技術革新。ダイバーシティに課題を抱えている日本だからこそやる意義が大きいと感じております。リアルテックも男性キャピタリストしかいないので、十分に捉え切れていない課題やチャンスがあり、自分自身が発揮できる価値があると考えています。
——リアルテックでインターンをはじめて2ヶ月程経ちましたが、どのような印象をお持ちになりましたか?
入社して直ぐ全員と1on1をしたのですが、哲学に関する論考を書いている人、小説を書いている人、本気で宇宙に行こうとしている人、皆さん多様で本当にびっくりした覚えがあります。ただ、各々自分がなぜリアルテックにいるのか、何を成し遂げたいのかが明確で、熱い人が多いというのが率直な感想です。マーケティングトークでは無かったですね。たまに熱すぎてこの人達の世界観に私は付いていけるのか、正直不安になることもありますが、熱い人の周りにいれば自然と自分の目線も引き上げられると思っているので、これからの挑戦と出会いが楽しみです。
リアルテックのビジョンに共感し、募集ポジションにご関心ある方からの応募をお待ちしております。また、リアルテックファンド投資先のスタートアップで働くことに関心ある方もお気軽にお問い合わせください。
▶募集ポジションの詳細はこちら: https://www.realtech.holdings/recruit