リアルテックホールディングス、電力の需給分析をシステム化し持続可能な電力市場を構築するフィリピンのスタートアップSolX社に出資
リアルテックホールディングス株式会社(所在地:東京都墨田区、代表:丸幸弘、永田暁彦、以下:「当社」)が運営するリアルテックグローバルファンド※1は、フィリピンの持続可能な電力市場の実現に向け、SOLX Technologies Pte Ltd(本社:シンガポール、事業国:フィリピン、以下:「SolX」)へ出資いたしました。本出資は、当社にとって初めてのフィリピンのスタートアップへの出資であり、フィリピン政府系ファンドであるStartup Venture Fundとの初の共同出資です。
当社は引き続き、フィリピンの電力課題を解決し、持続可能な電力市場を構築するSolX社をサポートしてまいります。
フィリピンの電力市場の課題
2022年、フィリピンの実質GDP成長率は前年比7.6%を記録し、これは同国が1976年に記録した8.8%の経済成長率に迫る、歴代2位の成長率でした。フィリピンは今後も東南アジア内で最も経済成長が期待される国の一つですが、一方で、2019年に国際労働機関(ILO)が発表したレポートによれば、同国の平均年収は45万円で、日本の約1/10に過ぎず、物価水準も日本の1/5〜1/3程度であるとされています。
このような現状にもかかわらず、フィリピンの電気料金はアジア地域で、日本に次いで2番目に高い水準にあります。これは、同国が化石燃料の賦存量が少なく、多くの化石燃料を輸入に依存していることに加え、電力の移動にかかる費用が高額であり、国からの助成金でカバーされていないためです。代わりに、高い消費税や所得税が課されており、国民の生活を苦しめています。2008年には「再生可能エネルギー法」が制定され、発電事業者や配電事業者などの電気事業者に再生可能エネルギー起源の電力から一定割合を調達する「再生可能エネルギー利用基準割合(RPS)」が定められましたが、現時点での導入は進んでおらず、電力料金は上がる一方です。
SolX社の概要とソリューション
SolX社は、電力の需給分析をシステム化し、高額な電気料金を削減するマーケットプレイスを提供するフィリピンベンチャーです。SolXが開発するプラットフォームは電力需要家と電力小売事業者を適切に結びつけ、市場の透明性と競争力を高め、最適な電気料金を提供します。2021年にはフィリピンで制定されたグリーンエネルギーオプションプログラム(GEOP)により、電力を多く消費する需要家が再生可能エネルギー電力を100%指定して購入できるようになり、その結果30%以上のコスト削減が実現された事例も出ています。
現在、SolX社のプラットフォームはすでにフィリピン国内の主要な需要家に活用されていますが、この市場はまだターゲット市場の3割程度しかカバーしていません。現時点では小売市場は500kw以上のピークデマンドを持つ大規模需要家に限定されていますが、2025年までには一般家庭も含めた市場が拡大され、アプローチできる市場が3倍に増加する見込みです。
さらに、SolX社は自社開発のスマートメーターを活用し、フィリピン全域の電力利用状況を収集し、リアルタイムで需給を管理する体制を構築しています。これにより、データ収集に伴う通信遅延を回避し、適切な電力価格で電力を調達できる環境を目指していきます。
今回の資金調達について
SolX社は、2022年にフィリピンで開催されたTECH PLANTER in the Philippinesでリアルテック賞を受賞し、かねてから日本および東南アジアのディープテック分野で強力な投資家の存在を求めていました。2023年上旬に、当社のグループ会社であるリバネスキャピタルおよびフィリピンを代表する投資家のFoxmont社から出資を受け、事業が順調に進行していた時期に、さらなる成長を加速させるために今回の出資に至りました。
また、本件は23年5月に当社が共同出資パートナーとして認定されたフィリピン政府系ファンドであるStartup Venture Fund(SVF)との初の共同出資です。事業特性上、自治体や政府機関との連携が必要とされる中、SVFのサポート体制がSolX社の事業を更に加速させることを期待しています。
電力自由化の進展に伴い、フィリピンの一般家庭が電力を選択・調達できる時代が近づいています。当社は、持続可能なエネルギーの普及に向けて重要な役割を果たすSolX社を支援し続けます。
SolX Tecnologies Inc.(シンガポール/フィリピン)について
- 設立年月 :2022年12月
- 所在地 :68 CIRCULAR ROAD #02-01 SINGAPORE (Hold Co.):UNIT 206 MQI CENTER 42 ESTEBAN ABADA ST LOYOLA HEIGHTS
- 代表者 :Sergius Santos
- 事業内容 :電力小売事業者と需要者をつなぐプラットフォームの開発
- 公式サイト :https://solx.ph/
- 出資時期 :2023年9月
※1:正式名称:「リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合」
リアルテックホールディングスについて
リアルテックホールディングス株式会社は、地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジー(リアルテック)を有するディープテックスタートアップへの投資育成を通じて社会課題解決に取り組んでいます。
同社が運営するベンチャーキャピタル「リアルテックファンド」は、ディープテックスタートアップを成功に導いた経験のある株式会社ユーグレナの代表執行役員CEO 永田暁彦と、ディープテックスタートアップを創業前から支援する豊富な実績を有する株式会社リバネスの代表取締役グループCEO 丸幸弘によって創設されました。国内外の政府・企業・自治体と密に連携し、ディープテックスタートアップのバリューアップのためにフルハンズオンで支援を行っています。これまで200億円以上を運用し、国内外のスタートアップ90社以上に投資しています。2021年には、ディープテック領域に投資するファンドとしては日本で初めてのインパクト投資ファンドを設立しました。
WebSite: https://www.realtech.holdings
<お問い合わせ先>
リアルテックホールディングス株式会社
広報担当:成田
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